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まともな事を書きます

ブルーライン脱線事故を考える 〜オタク事故調査委員会〜

2019年6月6日朝、横浜市営地下鉄ブルーライン下飯田駅を出たあざみ野行き始発電車(532a列車、3531F)が脱線した。この記事では事故について現時点で得られる情報よりオタクが勝手に考察したことを書き連ねて行こうと思う。

 

事故現場はどのような場所であったか

まず最初に、事故の現場がどんな場所だったか話しておこう。

下飯田駅はごく一般的な島式ホーム1面2線の駅である。

 

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下飯田駅

 これだけを見ると脱線する要素を見つける難しいが、実は下飯田駅には営業用には使われない“もう一本の線路”が存在しているのだ。

 

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下飯田駅のあざみ野寄りには、保線用車両を留置するための中線が1本存在している。

が、こういった線路は営業には使わないので営業線の乗り心地を損なわないため、営業線と繋がっていないのが一般的だ。

これが大前提として必要な現場の情報である。

 

この事故のキーアイテム

ここからはネクスツコナンズヒィィ~~ンッ!!!!!!!!!!的な話をしようと思う。

一般的に、このような線路から営業線へ事業用車を出入りさせる際には、そのままだと営業線へ進入できないので「横取り装置」という装置、いわば営業線と留置線の架け橋を使用して本線と線路を繋ぎ、保守用車を出入りさせている。

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横取り装置

このように横取り装置を本線の線路上に被せて本線の線路を乗り越えて転線するというものだ。

実際の写真を見たほうが分かりやすいだろうか。

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横取り装置

※画像は横取装置とは - レイルエンヂニアリングより引用させていただいた。

このように、本線の線路を乗り越えるものなので、使用する際には線路閉鎖の手続きを取り、他の列車が走らない状態にしなければならない。そうしなければ事故が起こるから。

 

実際、過去に2009年2月に近鉄東青山駅付近で、伊勢中川行きの電車が作業後に外し忘れられていた横取り装置に乗り上げて脱線、保守基地に突っ込むという事故が発生している。

 

今回の事故ではこの横取り装置の存在がキーとなっているので、ひとまず横取り装置について解説させていただいた。

 

ブルーラインの脱線では何が起こったのか

さて、察しの良くない方でも既にお分かりだと思うが、既に報道されているように、今回の事故の原因は「使った装置を線路に置き忘れた」つまり、横取り装置を撤去し忘れてそこに電車が乗り上げて脱線したということになる。

 

ここで先述の東青山駅での事故の事例を見てみよう。

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これは東青山駅での事故におけるJTSBの調査データである。左側分岐において進行方向右側の横取り装置を外し忘れたことにより保守基地の線路に電車が突入したというものだが、分岐方向に向かって反対側の横取り装置を付けっぱなしにした事故の場合、電車は分岐側に突入して行くものだが、今回は脱線こそしたものの、中線には突入していない。

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また、横浜市営地下鉄が脱線、一時全線運転見合わせ けがなし:朝日新聞デジタル に掲載されている脱線した車両の写真を見ると、進行方向*1右側の車輪から脱線しているのが分かるだろう。

進行方向左側の横取り装置が付けっぱなしだった場合なら、線路は右側へ分岐しているので左側へ車両が脱線する事はありえないはずだ。

 

これを見る限り、進行方向右側の線路に付いていた横取り装置が付けっぱなしになっていて、そこに車両が乗り上げて脱線した。ということになる。

横浜市交通局の公式発表によると、6号車(C#3536)から2号車(C#3532)まで脱線したようなので脱線してしばらく脱線したまま走り、線路を外れた衝撃で止まったという状況だろうか。

下飯田駅の保守用車両の留置線はホーム端のすぐそこから始まっていて、ブルーラインの車両は1両18mなので5両が脱線したとなると下飯田駅から約100mというのも上手いこと計算が合う。

 

まあそれはそれとして、仮に進行方向左側の横取り装置が付けっぱなしだった場合、留置線に突っ込むだけでなく、留置線と本線とを隔てる壁(柱)に激突して、死者が出るレベルの大惨事になっていたかもしれないと考えると、本当に恐ろしいものである。

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駅の先は一瞬だけ開けた場所があってすぐトンネルとなっている。

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最悪の場合トンネル入口の柱がある部分に突っ込んでいたかもしれない

まあ大惨事は回避できて、けが人もなし、利用者がただ困ることになっただけで運が良かったということで、オタクの勝手な事故考察はおしまいにしようと思う。

 

おわり

先日のシーサイドラインの逆走と違って、オタクでも事故原因が分かる程度に明らかなヒューマンエラーなので、横浜市交通局には是非ともしっかり対策をしていただきたいところである。

かなり前から「横浜市営地下鉄はあんまり運転見合わせこそしないものの運転見合わせする時は相当なやらかしをして止まる*2」とオタク達から何かと言われていたが、今回の事故を聞いたときも「いよいよガチのやばい事をやらかしてくれたなあ」と案外冷静に見ていられた感がある。日頃の行い。

 

今回の事故はけが人こそ出なかったものの、ブルーラインは始発電車で事故を起こしてこの記事を書いている16時現在も絶賛運転見合わせ中。

電車の止まった所がトンネル内なので車両の復旧に相当時間がかかりそう。明日の朝までには動いてくれると良いが明日も運休になる可能性は十二分にあるだろう。

勘弁してくれ俺は振替輸送で学校行くために早起きしたくないぞと思いながらただただ早く復旧することを願うばかりだ。

 (追記)明日も終日運休するらしいね。振替輸送通学確定です。お疲れさまでした。

 

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遅刻理由:地下鉄が脱線したから

我が高校には「遅刻カード」なる遅刻者が登校時間と遅刻理由を書くペラ紙があるのだが、遅刻理由に「地下鉄が脱線したので」なんて書くのも人生で今日ぐらいだと思う。

*1:ブルーラインの車両は同じ編成の中で1の位が湘南台寄りから順に1〜6まで振られている。事故の当該編成の場合は湘南台寄りから3531-3532-3533-3534-3535-3536。

*2:上永谷駅でポイントが故障してして5時間以上運転見合わせした挙げ句、運転再開した数時間後に今度は新羽でポイント故障してまた止まるなど